5年前の4月26日。
この日は北見の仕事を終え、札幌に戻る日だった。その時の行はこの辺にまとめてある。今回はその補完と記憶の固定・・・
帰路も特急旅を楽しむ予定でいたが、ダイヤが今一つでレンタカーの検討をした。この頃北見にはタイムズレンタカーがあった。当時タイムズレンタカーは他社とは毛色の違うクルマを用意していて、沖縄ではMINIを借りてドライブしたこともあった。
北見のソレでは北国だしSUBARU車なんてありゃしないか、なんて思いつつ覗いて見たらあった!ソレもLEVORG、しかも札幌乗り捨て可能。レンタカーを借りるのも乗り捨て料金を負担するのも、特急旅のソレに比べたらかなりのコストオーバー。しかし、その昔カミさんとLEGACYで北海道を旅した僕としては、再びSUBARUでココを走れるなら、その体験はプライスレス。
そんな訳で9時から18時まで、LEVORGは僕のパートナーとなった。
さて、札幌までのルートだが、国道39号旭川経由が最短ルート。ソレではつまらないので、国道242号で南下することにした。足寄経由で富良野を巡って札幌入りも良いかと。しかし、思いつきで士幌線の遺構とタウシュベツ橋梁を訪ねるルートに舵を切った。
遺構を巡るつもりが、有名な第三音更橋梁跡なんかはスルーしていた。
コレは、クルマを止めて写真を残していた第四音更橋梁跡。
枝が混んだ周波数の高い画。
冬枯れの時期だと意図せずとも視界に入る光景だが、深緑の頃はソレこそ葉に埋もれてスルーしてしまいそうだ。
現在はコンクリのアーチ状の桁と足がなんとか残っているが、往時はこの間に鉄橋が掛けられていたらしい・・・
先に進んで糠平湖。
4月が終わろうとしている頃、まだ湖面は凍っていた。湖面の先に見える土手状の隆起部は、士幌線の旧ルート。タウシュベツ川橋梁に続く路線跡。
そしてこちらは新ルートの路線跡。
士幌線は1925年12月に開業。糠平ダム設置に伴い人造湖である糠平湖に路線が沈むため、1955年8月にルート変更。1987年3月に廃止となった。
本線の廃止からも既に33年。
新線の其れ等も、徐々に元の姿に戻ろうとしている。
さて、タウシュベツ橋梁を望むには選択肢がいくつかあるが、タウシュベツ橋梁展望台から遠望するのが手軽な方法。
国道273号線から湖畔に向けて歩くと、士幌線の新線跡地が残っている。
標識によれば国道から展望広場までは180m程。
この時は、僕以外に人はいなかった。
自然の中で人に出くわすのも実は怖いのだが、ココではやはり熊だ。運悪く寝起きの個体と遭遇してしまったら、僕でもご馳走になりかねない・・・
少しビビりながら歩みを進めた先、眼の前に現れたタウシュベツ橋梁。モノトーンの中にあるその佇まいが何とも神秘的。
旧線のソレは共用廃止からこの時点で64年が経過。幾度もダム湖への水没と冬季の凍結を繰り返しており、その姿が残っているだけで奇跡だ。
あれから5年の今はどうなっているのだろう。昨年のニュース映像が残っている。
どうやら更に崩壊が進み、そろそろ繋がった姿は見納めの時期が来ているようだ。
この劣化を食い止め、その姿を後世に向けて引き継ぎたいという動きもあるようだが、どうなんだろう。動画の中でも語られているが、朽ち行く美学というのも有りだと思う。ソレが歴史を語る上で重要なエッセンスにもなるだろうしね・・・
士幌線は十勝三股が終点。今はその手前の幌加駅跡と、その少し先にある第五音更川橋梁跡が痕跡を辿る最終地点の模様。その先は原野に餐まれている。
士幌線跡を巡る旅は、ここでお終い。この先は三国峠を超えて大雪湖の先で国道37号に入り旭川を目指した。
途中三国峠は雪。その後旭川側では再び雨となり、周囲に雪は無かった。
視界の先まで伸びる直線。
旭川市街入してから、先を急ぎ岩見沢まで高速移動。高速を下りて国道から脇にそれて出会った農場風景。北海道らしい壮観な眺め・・・
北見を出る頃から降っていた雨は、この辺で上がり始めた。
思い付きにも程がある、そんな道程。でも適度に適当、ソレが良いんだよ・・・
この後17時頃ホテル着。荷下ろししてLEVORGを返却して旅は終了。ところでこの旅の切っ掛けをくれた北見のタイムズはもう無い。楽しめる時に楽しんでおいて良かった。
そんな結び。
続く・・・
XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS+X-T30