それは、黒目に向かって伸びる一本の血管から始まった。
老眼が進んでいるので、裸眼で鏡の前に立っても僕の場合は気付かない程度だった。ある日たまたま老眼鏡を掛けて鏡を見た時、そこにそれはあった。
「黒目に向かって血管」
そう調べると、角膜新生血管の疑いと出てきた。慢性的な酸欠などで起こり、放置すると視力低下や角膜混濁につながることもあるらしい。原因として多く挙げられていたのはコンタクトレンズの常用。ただ、僕はコンタクトレンズを使っていない。
その時点で何か自覚症状があったかというと、何もない。痛みも違和感もなく、見た目だけ。結局、加齢による変化だろうと勝手に結論付け、放置が始まった。
しばらくすると、その血管は黒目付近で広がり、やがて白い膜のようなものを形成していた。
今度は、「黒目に白い膜」で調べる。
すると、翼状片の疑いと出てきた。白目の組織が目頭側から黒目へ向かって三角形状に伸びてくる症状で、充血や異物感を伴うことがあるという。原因としては紫外線や埃など、慢性的な刺激が代表的らしい。屋外作業者に多いとも書かれていた。
見た目だけなら、むしろこちらの方が近かった。ただ、僕の仕事は長年屋内、それも暗がりが中心。やはり典型例とは少し違っていた。
そうして、ここまで約6年。
放置という名の経過観察。
痛みも痒みもない。苦痛がなければ、医者に足はなかなか向かないものだ・・・
EF-40mm F/2.8 STM + Fringer EF-FX ProII + X-T30
